友人のブログ【哀心よりお悔やみ申し上げます】の「敗北戦闘のデザイン」というエントリーを読んでいて思ったこと。 (この記事はトラックバックエントリーです)
記事の概要は、 ・TRPGで「PC側が敗北することが決まっている戦闘」を扱うのは難しい ・下手に扱うと、プレイヤーのモチベーションにダメージを与え、楽しいセッションを遊べなくなる危険性がある ・しかし、物語や史実には、時としてそういう状況が出現する ・GM心理としても、TRPGの強化という視点からも、やれるならやった方が良い
……ということで、解決案や着想メモがその後具体的に語られるのですが。 その後の文章で、色々と考えさせられました。
始めからすこし気取って滅びの美学を遊ぶなら、それで良いと思うのですが… 私はもっと泥臭く、地べたを這いずり回るようなシナリオもやってみたいのです。 努力して、努力して、努力しても尚、敗北が続くような物語が。 趣味が悪いのは事実ですが、きっとそれが私の世界観なんですよね。もし私が小説の世界に戻るならば、きっとそういう小説を書きたいのだと思います。 しかしTRPGではやりにくい。できないと言うべきかも。
彼は、そのような物語を遊ぶため、もう十年もTRPGに携わって努力を重ねてきています。 (と言うのは語弊があるか。彼の目標はまず第一に「TRPGの活性化」と「可能性の拡大」なのだから) その間、理想を形にできない挫折感はいろいろと見聞きしてきました。 それでも彼は再挑戦を繰り返し、今も時間を作って研究を重ねています。
そのエネルギーの源泉が何処にあるのか、素朴に疑問だったのですが……。 「これは、ヒトたる存在の『業』なのかもしれないな」と勝手に思って納得しましたw (本人に聞いてみるのが一番早いのでしょうけどね・笑)
なんと言いますか。 宇宙空間にせよ、地球環境にせよ、自然の掟はひどく生物に残酷で、 人はいろいろと試行錯誤して社会のシステムを間に合わせで構築してみたり、技術開発に邁進したりと努力しますが、結局は人の手が及ばない領域はあります。 まして一個人では太刀打ちできない大きな矛盾や立ちはだかる壁は、それこそ無数にあるでしょう。 それでも人は愚直に前へ進みます。たとえ志半ばで倒れても、後進が自分の屍を乗り越えて先へ進むことを信じて。 山積する複雑な問題を快刀乱麻で解決する英雄なんて現実にはいません。そんなハッピーエンドの物語は嘘です。 友人が既存のフィクションに苦言を呈するのは、そうした感覚なのでしょう。 ただ……。 何度も挫折を繰り返し、安易な成功などないと骨身に染みて、それでも挑戦をし続ける。敗北や死をも覚悟しながら、朗らかに自然体で。諦めることなく。 そんなことができる個人は、限られているでしょう。 それができる精神力は、充分「超人」レベルですw 凡人にモチベーションを与え続けるには、たとえ安易でも、実現可能に「見える」希望を与える必要もあるのではないでしょうか? (GMとPLの関係にせよ、社会と個人の関係にせよ)
私は、安易な現実逃避のフィクションには「肯定派」の立場です。 かつてノーベル賞文学者は言いました。「飢えに苦しむ子供たちの前で、私の文学は無力だ」と。 それに栗本薫先生は敢然と反論しました。「飢えに苦しむ子供たちの前でも、『物語』には力がある」と。 栗本先生が純文学を書かない理由は、既に辛い現実は溢れているのに、その現実を掘り下げることに、個人的に意味を見出せないから、でしたでしょうか……。 読者諸兄には大いに異論もあると思いますが、私はこれはこれで立派な態度だと思います。 ヒトは元々、想像力で現実を構成している生物なのですから。 「物語」によって、辛い現実を一時忘れる、だけでなく、希望を抱いて前に進む力を得ることも可能なのです。
先日『夢を与える』という綿矢りささんの新作が上梓されましたね。 まだ目を通してはいませんが、夢を「与える側」の現実を描いた純文学と伝え聞いています。 夢を与える生業も一見華やかではあるものの、人々の欲望を一身に受ける「業」もあるということなのでしょう。
また、折りしも宮部みゆきさんの『英雄の書』という、安易な英雄物語に酔う人々に疑問を突きつけるような小説が毎日新聞夕刊で連載中です。 先の展開がわからないので何とも申せませんが。
友人がTRPGで遊びたいシナリオ/書きたい小説は、努力が報われない現実をこれでもかと描くようなものになるのでしょうか? 多分「結果はどうあれ、努力の過程に意義はあったさ」的な安易な救いは彼は書かない気がします(^_^;) ひたすら透徹した目線で、敗北する時は敗北する。死ぬ時は死ぬ。そうした現実を突きつけて尚、読者を離さない。 彼が書くならそんな小説でしょうかね。 純文学ともライトノベルとも言いがたいけれど、けっこう時代の風潮にマッチしているかも? (なんて書くと臍を曲げるかw)
私としては、超人的なヒーローが活躍したり、遠未来の超絶テクノロジーで問題はあっさり解決、みたいな物語が好きだったりするのですが……。 それは精神年齢がお子ちゃまだからかな? いや個人の嗜好の問題かw
彼には積年の夢を実現してもらいたいものです。 私の方向性とは違いますが、きっと面白いものになるでしょう。 面白さにもいろいろありますからね。決して嫌いではないのです。 真実を射抜く「本物」に意義があることは明白ですし。 そして私も、もしまだ作家を目指すのならば、基本的な部分から鍛え直す必要がありますね。 というか、まずは日常生活が安定して送れるように体力強化のトレーニングが必要(爆)。 テーマ:物書きのひとりごと - ジャンル:小説・文学
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