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僕は天使の絵を描く
僕は天使の絵を描く
記憶の中の優しい天使を

僕は天使の絵を描く
かつて確かに存在し
ともに甘やかな時を過ごした
今はもう居ない彼女の似姿(え)を


愛していると 天使(きみ)は云った
深い哀しみと 零れそうな涙を湛えた瞳(め)で

それは消滅のはじまり
僕だけを愛してしまった天使(きみ)は――
もはや天使ではいられなくなって

薄れてゆく
薄れてゆく
存在すら透き通るように

薄れてゆく
薄れてゆく
天使(きみ)の記憶すら――
「なかったこと」のように消えて


それでも
 必死で
  僕は


初めて逢った日 きみは驚いていたね
わたしのことが、見えるの――? と
もちろん―― 僕は応えた
風を纏って ふわりと優雅に拡がる純白の翼
ライトブルーの 控えめに翻るやわらかな衣
苺のように 甘い顔立ちに
好奇心に煌めく瞳を宿して
ほら 触れるよ――
僕は 天使(きみ)の手をとった
月明かりの下の湖のほとりで 二人だけのダンスパーティー
その時から 僕は恋に陥ちていたんだ


きみは僕を諫めたね
天使は万人に愛を注ぐのが仕事だと
誰か一人を愛することは できないのだと

でも 僕は僕だけを
見て 話して 笑っていてほしかった
同じように 「愛して」ほしかった


あなたはこんなに美しいのだから
――きみは云ったね
人間(ひと)の世界でも 愛してくれる女性(ひと)がいるはずだと

でもそれは僕にとっては無意味だった
きみでなければ
きみでなければ 意味がないんだ――
何度となく繰り返した


きみが愛してくれないのなら
生きている意味さえない――
命を落としかけて ようやく得た愛の言葉

それは涙を流しながらの ――誓い
わたしは ずっと あなただけを ――愛します


それは堕天。
それは追放。
それは――消滅。

愚かな僕は ただ舞い上がっていた
残酷な最期も知らずに


初めて愛を交わした夜
それは最初で最後の 契り
翌朝 僕から天使の記憶は消えていた
それから何年―― 忘れていたのか


湖のほとり。
絵を描いて。
思い出した―― 二度と還らない きみを


何という罪
何という大罪
何という――報い


それでも僕は描き続ける
記憶にだけは 確かに蘇った
誰も知らない 優しい天使を


2007.03.17. 06:05
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テーマ:詩&想い - ジャンル:心と身体

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